普通の涼しい春の日。天気が晴れ、かすかな霞がかかっていた。

昼下がりに喉が渇いて、スリッパを履いたまま僕が会社から近くの販売機にコーラを買いに出かけた。戻ろうとすると、歩行者の様子がおかしい、そして隣の建物の方からシャッターがなぜかガタガタと大きく響く。「どうした?」と思い、地面、そして駐車場の車が大きく揺れていることに気づいた。

日本に暮らしている人々は、ほとんどどこでも地震が起こり得ることをよく知っている。全国地震動予測地図にも、これからの20-30年にわたって、大きな地震が起きる確率99%という地域が少なくない。たぶん、海外からの人がこの地図を見たら、「やばい」と言いながら日本を去ってしまうかもしれない。10年以上日本に暮らしている僕は、多くの日本人と同様に、常に地震のことを認識して、覚悟している。だから、実際に地震が起きた今は、迷わずに、一番安全だと思った駐車場の真ん中に移動した。

間もなく揺れがもっと強くなった。蛇行しながら走るバスの中にいるかのように、立っていられない状態になったので、駐車場のアスファルトの上にあぐらをかいた。地震は、「面白いけど、まだ怖くない」というレベルを超え、僕が本気に心配し始めた。すぐ下のアスファルトに四角い割れ目ができ、左右に少し動いていた。おそらく、この地下には何かの四角形の施設があるのではないか。

もうそろそろ地震が終わると思ったとたん、驚くほどさらに激しい揺れが来た。建物の周りのアスファルトは何箇所も大きく割れながら、壁から離れ、波のように動き始めた。電柱は風に吹かれた葉っぱのようにゆらゆらしていた。向こうの建物からフロント壁の一部が崩落して、下に停まっていた車を覆った。隣のカレー屋さんに設定している大きなガスボンベが倒れ、そこからジュージューと大きな音がした。

もう駄目だ。このままだと、全部崩れてしまうと思ったとき、揺れが少しずつ治まり始め、しばらくしたらとても静かになった。

玄関付近の割れ目
玄関付近でできた割れ目。

割れたアスファルト
駐車場のアスファルトもひどく割れた。

破壊された階段
ぐちゃぐちゃになった裏口付近。

崩落した壁
納豆屋さんの壁が車の上に崩落。

地震の直後、市役所や他の建物から大勢の人が外に逃げ出し、ラッシュアワーのようになった。みんな、驚いた顔をして、写真を撮ったり、うろうろしたりしていた。あっちこっち、アスファルトの下から出た水が流れていた。そして、とてもガスくさい。

やっと会社に戻ったら、中はぐちゃぐちゃで、倒れる棚が全部倒れた。幸い、みんな無事だった。


この夜、地震が発生した3時間後、珍しく美しい夕焼けが空を真っ赤に染めた。

地震の後の夕焼け
夕焼けを背景にした茨城県庁。